水墨画の世界、桂林の山水の真髄

桂林の山水は長いあいだ数え切れないほどの文人墨客を酔わせてきた。もしもこの土地で最も美しい風景は何かと論じるなら、霧雨がもうもうとする漓江に勝るものはない。雲と霧がゆらゆらと揺らぐ様子は、まるで仙女たちが住む宮殿か、はたまた夢の世界に入り込んだようだ。

桂林の山水の真髄は「一江、両洞、三山」で輝く。一江とはすなわち漓江を指し、両洞とは蘆笛岩と七星岩のこと、三山が指すのは象鼻山、伏波、畳彩山である。第5版人民元の20元札の裏側に描かれている絵は、この桂林の山水風景がモデルとなっている。

桂林には山も多ければ水も多い。そんな桂林の山水の全体像を味わいたいなら空撮がいちばんだ。桂林の山水をもっとも早く空撮したのは日本の写真家久保田博二である。彼は1979年から1985年までの7年間、中国を旅行し、ほとんどすべての省を巡って20万枚の写真を撮影した。なかでも、まるで仙境のような桂林の山水と朴実な市井の人々の生活が彼を引きつけた。のちに彼は写真集『China』を出版し、世界の名声を博したが、その素晴らしい写真の多くは桂林のものである。

現在、桂林は写真愛好家達にとって創作活動のホットスポットになっている。以下の何枚かの写真は桂林陽朔相公山の山頂で撮影したものだ。ここは漓江の日の出、雲海、朝焼け・夕焼けで色づく雲を撮るのにうってつけのポイントである。

初夏の時分には桂林の龍脊梯田に行くのもよいだろう。水をたっぷりと蓄え泥を十分に湿らせた棚田が太陽の光を反射してきらきらと光っている。早朝、棚田の上をまるでレースのようなうっすらとした霧が漂う様子は、この世のものとは思えないほど幻想的だ。

—「Uni旅行図」より

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