広東省汕尾市、秦の時代から続く海鮮天国

汕尾で海鮮料理を食べる

汕尾にある海鮮類の特徴1:豊富な種類

14種107科860品種、この数字は養殖された海鮮類を示しており、ここには天然物はカウントされていない。魚市場に足を踏み入れると数え切れないほどの海鮮類が目の前に広がるが、海の近くで生まれ育った汕尾の人たちは全く戸惑うことない。皆が「歩く魚百科事典」となり、市場の中で、「これは太刀魚、鰆、マナガツオ、鯛、鯖、マルアジ、ウマヅラハギ、ウツボ、車海老、タイショウエビ、渡り蟹、青蟹……」と口から魚の図鑑でも出てくるようだ。

汕尾にある海鮮類の特徴2:新鮮さ

海鮮料理を食べる場合、現地の人々は家で食べるより、「とりたて」を好む。最速で海の幸を味わうことできるからだ。時間をかけて様々な調味料につけ込んだ海鮮を食べるより、とりたての海鮮に粗塩を振り、臭みを取って、調味料を少し付けて食べる「浅漬け」が気に入っているようだ。

これだけでなく「蒸す、ゆがく、煮る」など調理法も汕尾人の得意技だ。小さな魚ならスープにしたり、アサリなど貝類を湯がいたり、海老や蟹などをニンニクすりおろしで蒸すなど、「高級な食材ほどシンプルに調理すべき」という言い方があるように、汕尾の海の近くでは、海鮮の新鮮さ以外には何もいらない。

△船のそばで、塩漬けして食べる海鮮料理 /出典 図虫

△浅漬け

△渡り蟹

汕尾海鮮が有名な理由

中国の数多くの沿海都市の中でなぜ汕尾海鮮がこれほど有名になったのかという質問に対して、汕尾の地図を広ければその答えがすぐにわかるだろう。汕尾の土地面積はわずか広東省全域の3%しか占めていないことに対し、海の面積はなんと陸地面積の4.5倍の2.39万平方キロメートルがあるのだ。「燕の尻尾」のように二つの湾(紅海湾、碣石湾)に分かれ、海に面している。

△汕尾の優れた地形 / 図虫

典籍の記載によると、秦の時代(紀元前221年~紀元前207年)から汕尾あたりの住民は海上で生計をたて始め、宋の時代に入ると、汕尾港に魚の市場の雛形ができあがった。その後、数百年の発展を経て、三つの市場「後径圩、汕尾圩、坎下城」が形成し、清の時代になると、汕尾港は一躍して「広東省東部を代表する漁港、商港、貿易中心」となった。

△漁師に支えられた都市 / 図虫

近代以降、香港、広州、汕頭などの都市と通航するようになった汕尾は、騎樓(2階が歩道の上に突き出ている建物)が林立し、他所からやってきた商人たちが百軒以上の商店を開いていた。1920年代、汕尾は、人口が1万人以上に達したが、その半分は漁民で、財政収益が海豊県の三分の二を占め、「スモール香港」と呼ばれるようになった。

汕尾には12の港があり、その中の汕尾港はこの地の急速な経済成長を遂げた発祥地として、これまでずっと切磋琢磨し、市全体の魚の水揚高の五分の一を占めている。港を出ると、中国全体で有名な四大漁場のうちの一つ「汕尾漁場」がある。また、鲘門港「鲘門海鮮、広東第一鮮」という言い伝えが残る場所である。

△当時、汕尾は「スモール香港」と呼ばれていた / 図虫

海で生計を立てている汕尾人は、海に敬虔な意を持っている。長年海の風を浴び、海がある意味でひとつの信仰となり、その信仰から、殆どの漁民が出港する前に媽祖を詣るという独特な海洋文化が生まれた。清の時代に『海豊誌県』には次のような記載がある。「大徳港天妃廟、海に出る船舶が必ず祈る」、ここの天妃というのは媽祖のことだ。鳳山媽祖廟に、中国大陸で最も大きな媽祖石像が置かれている。

汕尾人は媽祖を信仰する以外、漁の歌をも心の拠り所にしている。時間が経つにつれ、漁の歌は「中国の無形文化遺産」と認定され、汕尾に今でも媽祖を詣り,漁の歌を歌いながら海の賜りに感謝する漁師が数多く存在する。

△汕尾鳳山媽祖廟 / 図虫

△汕尾の漁師には漁の間に漁の歌を歌う習慣がある

潮風の下で見る庶民の生活

汕尾にはまだ世間によく知られていない部分があるが,そこに住む人々は他人の目を気にせずに、ただのんびりと生活を楽しんでいる。訛りを帯びた標準語を喋り、潮風に吹か

れ、咸擂茶(塩味のレイチャ)や海鮮を食べ、白字芝居や正字芝居、西秦芝居を鑑賞する。食べ物と風物だけでも、十分に汕尾人の心を癒してくれている。

△汕尾に漂う潮風の匂い、グルメの集大成 / 図虫

汕尾には「仕事に励む、食事を楽しむ」、「仕事は催促していいが、食事は催促するな」、「食事を催促したら、雷を喰らう」などの古い言い伝えがある。これらの素朴な言葉から汕尾人の食べることへのこだわり、生活への態度が伺える。

△汕尾人のこだわり「仕事に励む、食事を楽しむ」 / 図虫

二馬路は汕尾にある古い通りである。朝六時から翌朝三時にかけ、この「汕尾で最も長い街道」と呼ばれている通りは昔の輝きを繁盛する飲食商売に変え、深夜まで人が集まり、賑やかである。

△汕尾二馬路屋台,非常に賑やか

二馬路のある海鮮料理屋台に入ろう。お粥や野菜スープでお腹を温め、浅漬けやシャコの塩コショウ炒め、太刀魚の焼き物を注文すれば、日頃の悩みが忽ち吹き飛ばされる。舌が熱さと冷たさに刺激され、感情が塩辛さと海特別の匂いの中で生まれ変わる。この至福の一時こそ、食事の最大な魅力であろう。

△シャコの塩コショウ炒め

△甲子お魚ボール

△晨洲牡蠣

—「九行」より



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