歴史が長い運河に近づき、千年の趣を探し求める

大運河は古代中国人が創造した偉大なプロジェクトの一つで、今からすでに2500年余りの歴史をもち、千里を縦断して、奔流がやまない。南北の水路交通の利便性だけでなく、燦爛たる運河文明ももたらした。江蘇省は大運河沿線省市では、最も長い河道を持ち、経由した都市が最も多い省であり、最も大運河の構成資産が多い省でもある。大運河を巡りながら、江蘇区間の独特な魅力を探し求めよう。

1本の運河は、江蘇省の8つの都市を縦貫し、一帯の気候風土を滋養しながら一帯の文化を生み出した。一つ一つの都市はそれによって建てられ、それによって興られた。

揚州・中国大運河博物館

揚州は長江と京杭大運河の合流地点に位置し、「中国運河第一の都市」と称えられている。揚州三湾古運河畔に位置する揚州中国大運河博物館は、大運河の歴史の変遷を時間軸として、大運河の前世と今生について語っている。中に足を踏み入れると、この中国大運河の「百科事典」をじっくりと味わい、運河が民衆にもたらした美しい生活を体得することができる。

博物館は新しい唐風建築で伝統と現代の美を融合しており、運河沿いの漕ぎ出す巨大な船のようである。ここでは、運河の水利工事、塩の水上輸送、商業貿易、飲食風物を見ることができるだけではなく、「河の恋」、「運河上の舟楫」などをテーマとしたデジタル没入型体験展を通じて、運河沿いの戯曲や詩、様々な船種、賑やかな街を見ることもでき、流れる光と影の中で運河の生き生きとした自然の美を味わう。

そのほか青少年の観客のために「運河謎解き」の展示も行われている。全面開放型の体験空間は古風と二次元のスタイルを組み合わせ、「密室脱出」ゲームの方式で青少年の観客に大運河探索の楽しさを体験させて、古い運河文明とハイテクノロジーの融合という不思議な魅力も感じさせる。

淮安・里運河文化長廊

淮安は水上に浮かんでいる綺麗な都であり、運河の水はこの都市に手厚い歴史と人文の深奥を蓄積させ、運河に関わる文化記憶の古城という烙印を押した。里運河文化長廊は淮安の粋である。

淮安里運河は全長32キロで、古式ゆかしい建築群が川沿いに立っている。国師塔楼、御埠頭、清江浦楼は相変わらず、清江の水門は勢い虹の如く、淮安の千年の運河文化を担っている。

夜の運河はきらきらと輝いていて、特別な風情を感じられる。遊覧船に乗って運河を見ると、美しい屋形船と沿岸の遺跡が互いに照り映え、古風さとモダンの完璧な調和を感じる。十里わずかの水路では、数十箇所の美しい風景が線となって、清江大閘、陳潘二公祠、呉公祠、御埠頭などの運河文化の遺構は、運河の都に荘重で伝奇的な色彩を加えた。中洲島の文化館シリーズは淮安の昔の繁栄を次第に広げている。きらきらと輝く月光の下で、運河をぶらぶらしながら、古きよき運河の物語に耳を傾け、身近に流れる川のせせらぎを味わう。

蘇州・七里山塘

山塘街は蘇州の西北に位置して、今から1100年余りの歴史がある。通りに沿って流れる山塘河は大運河に接して、優れた水陸の交通条件のため、かつてここが明、清時代の中国の商業、貿易、文化の最も発達した街区の一つで、蘇州城の昔から今までの賑やかさの縮図である。

山塘河は東が閶門渡僧橋から始まり、西が虎丘望山橋に至り、長さは約3600メートルで、唐代の名詩人白居易が在任中に建設されたものである。今の山塘街は河と街が隣接し、水と陸が並行して蘇州古城、虎丘と大運河を結び付き、七里山塘の平和と繁栄を再現し、姑蘇の「呉文化の窓」となっている。

山塘を散策すると、街に林立しているお店、川に行き交う小舟、会館、祠堂、古寺など旧跡が多く、小さな橋や水郷人家の魅力の全てを堪能することができる。採芝斎、五芳斎などの老舗の小店に行って蘇式の美食を味わったり、桃花塢の木刻年画、紫檀の木彫、刺繡などの特色の店舗に行ってすばらしい伝統工芸を観賞したりすることもできる。火ともし頃、両岸の光が山塘の賑やかを照らし、オールの漕ぐ音とほかげの中で、蘇州の評曲を聴き、古くて悠遠なる呉韻が耳にこだまするのを静かに感じ、酔いしれながら、東方水郷の人間生活の温もりを味わう。

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