気温が涼しく、たっぷりと肥えた海鮮が美味しい10月は、ぜひ島に行って休暇を過ごそう。浙江省には心動かされる小さな海浜都市がある。その名前は寧波市象山。秘蔵の海浜県城だ。
象山は象山港と三門湾の間に位置する。三面を海で囲まれ、2つの港を抱くここは浙江ないしは全国でも数少ない山、海、港、砂浜、干潟、島が一堂に会する場所だ。森林率は56.2%、空気の通年優良率は93.2%に達する。山と海、森林が完璧に溶け合った、生まれながらの住みよい土地だ。もしちょっとしたバカンスの予定があったり、ちょうど海辺に行きたいと思っていたなら、ぜひ象山で休暇を過ごしてみよう!
小紅書(RED):追逐太陽的暁
1石浦小鎮
海に面し山を背負ったこの小さな町は、まさに「港に抱かれ、山を抱く街」だ。600年の激動の歴史を経たこの古い町では、ひとつのレンガ、一枚の瓦に至るまで、そのすべてが時の流れを伝えてくれる。
もし好天に恵まれたなら、曲がりくねった石作りの階段を一歩一歩上へと登り、山頂の展望台から石浦の町の全貌を眺めてみよう。
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2東門島
東門埠頭は石浦の古い町の外にある。埠頭の対岸には東門漁村がある東門島が浮かんでいる。東門島は面積2.8平方キロメートルしかないが、ここの漁港は二千あまりの遠洋漁船を擁している。
ここを訪れ、島の上から遠くを眺めれば、漁港に浮かぶ大小さまざまな船が目に入る。その風景は美しい。船上にはマストが林立し、風にはためく色とりどりの旗たちが一体となって色鮮やかな海上の風景画を描いている。もし時間があるなら、昔ながらの素朴さを残す東門漁村に足を踏み入れ、俗世を離れた海上でゆっくりとした時間を数日味わってみるのもいいだろう。
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3漁山列島
漁山列島の風景が描く自然の線は東シナ海でもっとも美しいと言ってよいだろう。広さは0.5平方キロメートルしかないものの、そこの景色はどれも絶景だ。
小紅書(RED):追逐太陽的暁
漁山列島には北漁山、南漁山、五虎礁群島が含まれるが、漁山島と言えば北漁山のことを指すのが普通だ。青い水に囲まれたこの小島は、晴天の日には周辺の海水の透明度が10メートル以上にも達し、まさに快晴の大空と同じブルーを見せつけてくれる。
4花嶴島
雑誌『中国国家地理』が推薦するこの土地では、世界三大火山岩原生地形の一つを見ることができる。島は起伏が険しく、36の嶴(山間の平地)と108の洞窟があり、それらが織り成す風景は「一億年の石林、一万年の大仏、千年のクスノキ、百年の蒼水」と称される。特に万柱崖は遠くから眺めると、そのあまりの絶景に強い視覚的インパクトを受けることだろう。
5鶴浦沿海道路
鶴浦沿海道路は南田島環島道路の一部で、鶴浦鎮の大沙ビーチを貫いている。ここをサイクリングすれば、左手には山が、右手には海が見える。爽やかな風を体いっぱいに浴びれば、目に入るどの風景もあなたの琴線に触れ、心をときめかせること間違いない。
小紅書(RED):追逐太陽的暁
南田島の大沙ビーチは今のところ開発の手がほとんど加わっていない、比較的未開発な場所だ。日の出の頃合になると雲の隙間から万丈の光が指し込み、日の入りの時刻には残光で眩い。夜になると満天の星空が広がり、見る者は思わず「ああ、きれい」と感嘆の声を漏らしてしまう。
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6松蘭山
松蘭山の湾曲した12キロの海岸線上では、無数の岩礁や砂浜、港湾がひとつながりになっている。山と海とが繋がって、良く晴れた時には夏の匂い溢れるブルーが目の前いっぱいに広がる。また、アジアヨットセンターから遠くないここでは、ユニークなセイリング競技を見ることもできる。海の上で展開されるスピードと激情に目が釘付けになることだろう。
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7象山影視城
影視城とは映画のロケ地やオープンセットをまとめた観光エリアのことだが、この象山影視城はかつて『神雕侠侶』のような武侠ドラマの庶民世界を演じたことや、『琅琊榜』のように高評価を得ている大作の撮影も行われた。ここを訪れ、古い町並みを模して再現されたセットのなかを気ままにぶらぶらすれば、時を超えて昔の時代に来てしまったような気分になること間違いなしだ。
8象山を味わう
象山は中国ガザミの郷であり、全国的にも海鮮の都として名高い。ここの魚類は440種、エビカニ類は80種、貝類は100種以上にも及ぶ。海鮮を食べる、ただそれだけのために象山に足を運ぶのだって悪くない選択なのだ。
象山に来たなら、ガザミは必ず味わってみよう。ガザミの食べ方にはいろいろあるが、象山でいちばん定番の食べ方と言えば間違いなく「熗蟹」だろう。これは新鮮なガザミをにがりに漬け込んだもので、数日ほど経ったら取り出して食べる。
また、象山に来たなら海鮮麺も見過ごすわけにはいかない。海鮮麺とは言っても、実は麺は口実に過ぎない。どんぶりいっぱいになみなみと注がれた具材の魚介たちこそが本当の目的なのである。十元そこらを払うだけで、三色を織り成す肉・青菜・エビが入った一碗を味わうことができるし、もし百元ほど出せば、最高級の真っ赤なガザミと色とりどりな海鮮があしらわれた一碗を楽しむことができる。いずれにせよ、新鮮な魚介の香りと味を楽しむことができるのは間違いない。
食餅筒もおすすめだ。麦餅筒とも呼ばれ、小麦粉を練って作った皮と餡からなる食べ物で、餡となる具材は少ないもので数種類、多いものでは十数種類にもなり、旬の野菜から肉や魚までなんでもありだ。いちばん目を引くのは海鮮餡だろう。皮に包まれた餡を一口頬張るたび、深い満足感が得られるはずだ。
海鮮グルメ以外の象山の美味しいものといえば、甘い香りと柔らかな糯米が楽しめる米饅頭、ねばねばもっちりとした麻糍、飽きが来ない甘さの紅頭団、現地の人々から深く愛されている炒米麺、香ばしい香りとみずみずしくコリコリとした食感の葱油泥螺など、そのグルメの数々に今すぐにでも象山へ飛んでいって食べ尽くしたくなってしまう。
「美しくもつつしみ深い象山の山と、清らかで澄みきった象山の海、これらが一緒になって、人の心を動かす山海の歌を奏でるのだ」。そんな言葉を残した人がいる。もちろん、これだけでは豊富多彩な象山をまとめることはできない。この小さな海浜都市が私たちに与えてくれる感動は、この地に来て初めて理解することができるのだ。
小紅書(RED):追逐太陽的暁
—「ロバに乗って旅行に行く」より