ツァイダム盆地に火星の旅をしよう

青海省の北西部には、こんな不思議な場所がある。それはチベット高原北部に位置し、千百万年以来海抜が4000—5000メートル以上の高山たちによって“守護”され、タリム盆地、ジュンガル盆地と一緒に中国三大内陸盆地と呼ばれている。それが、ツァイダム盆地である。

人々はよく、ツァイダム盆地を「宝の山」と言ったり、地球上で「最も火星に似ている」場所だと言ったりする。ここは広大で、干魃で、蒼勁にしてものさびしく、静寂で、荒れ果てて、きらびやかで、目立たなくて、またワイルドで、中身がいっぱいで、宇宙への想像を満足させることができる。

チャルハン塩湖、中国最大の塩湖

ゴルムドから出発し、ツァイダムの最初の贈り物である中国最大の塩湖チャルハン塩湖を迎えてきた。その豊富な塩鉱資源と32キロに及ぶ奇妙な「万丈塩橋」の景色で、その名を半世紀余りに鳴り響かせた。塩分濃度が非常に高いため、周りにはほとんど草が生えていないが、大自然はチャルハン塩湖に天然の「幻の珊瑚」である塩の花を与えた。大自然の神業の彫刻の下で、塩の花は様々な形態があり、精巧で美しい。

水上ヤルダン、世界で唯一の水とヤルダンの融合

地球は大きな手で一振りして、湖面を持ち上げて奇岩の重なり合ったヤルダン群を沈め、唯一無二の水上ヤルダンを作り上げた。紺青な湖面に、大小の風食の残丘は水を破って出てきた。高さは数メートルから百数十メートルまでさまざまで、絶えずに長い畝状、クジラの背骨状、柱状、壁状に変化し、極めて壮麗だ。見渡す限りの砂漠の中に出てきた「大海原」に、風食の残丘はその上に立っているようで、神秘的である。

火星のキャンプ、火星には遠いが、ツァイダムには近い

火星のキャンプに入るには、88キロの無人地帯を自走し、さまざまなヤルダン地形を通り抜け、中心にある火星のキャンプに行く必要がある。基地が位置する俄博梁(がはくりょう)ヤルダン地形は、荒れ果てて干ばつで、広漠として人けがなく、さらにその独特の地形のため、「地球上で最も地球に似ていない場所」と呼ばれ、また火星の地形の特徴と似ているため、「地球上で最も火星に似ている場所」とも呼ばれている。ここでは、火星キャンプは完全に密閉された火星カプセルとして設計されており、完全な「火星着陸」体験を提供することができる。

艾肯泉、崑崙山の下の悪魔の目

「艾肯」は、モンゴル語で「恐ろしい」という意味であるため、ツァイダム盆地の「悪魔の目」とも呼ばれている。硫黄の含有量が高すぎるため、艾肯泉の周りには鳥獣が近寄らない。泉が流れるところは草も生えず、源泉の中心から絶えずに溢れている温水は魔力を含んでいる目玉のようである。泉の穴の周りには、温泉中の硫黄やその他の鉱物が長期にわたって沈殿し、赤褐色の丸い形になっていて、まるで人の目の縁のようで、何とも言えない迫力がある。

G315国道、ゴビでの人気のあるU字型の天路

旅人たちに「アメリカ66号道路に匹敵する」と言われた道路で、天辺と繋がっているのが見える。沿道のインパクトは間違いなく強烈で、無残なまでに荒々しく、美しさにも無情を包んでいる。

G315国道の全行程は3063キロメートルで、起点は西寧、終点は新疆ウイグル自治区トルガルト峠の国道で、この道に沿ってずっと運転すると新疆まで行ける。U字路にはいくつかの区間があり、10分ほど走れば一つの区間が見える。G315国道ではU字路から、水上ヤルダン区間まではよく路側のヤルダン地形群が見える。

これが、ツァイダム盆地の奇妙さだ。半分は荒れ果てて干ばつで地球において最も火星に似ている場所として言われているが、もう半分は水面の光がに揺れて煌きらめき、この上なく美しい塩湖の風景をもたらしている。このような景観は、火星にも水があると仮定すれば、その未来もツァイダムと同じように多彩ではないかと思わせる。

寄稿者:Lisa

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