蘇州と杭州の間にある古城「湖州」、無数の江南の味を隠している

夕方湖州南潯区に着くと、相変わらずにぎやかでした。櫓が川に映る岸の灯火を揺らし、ぼんやりしていた。

そばにある茶室に入り込むと、暖炉でお茶をご馳走になった。適当に休もうとしたが、異国から来た人に会い、不思議に思って聞いてみると、やはり「江南」のためであった。「以前からここのことは聞いたことがあります。私は『グリーン・デスティニー』を見たことがあります。莫干山はニューヨークタイムズに載せられていました。今回は杭州に出張で来て、ちょうど見に来ました。中国のシルク、筆、茶葉など、たくさんのものが、ここから来たと友人が教えてくれました。」

当局者として迷っていたのは私のようだった。湖州はどこか温和で風雅で、何を言っても静かで細やかでゆっくりとし理路整然としていて、世界に隠れているかと思ったが、名声はすでに遠くに広がっているとは思わなかった。しかし、振り返ってみると、このすべてはとても合理的だ。かつては湖州の商人が船に乗り、シルクや本やお茶を載せて、世界に素晴らしいものを送っていたが、今では世界からも期待の目で見られるようになった。

山水で挨拶

湖州を見回すと、無数の湖、川、谷川、溝があり、太湖と周囲の大小の異なる沼沢地をつなぎ合わせ、また湖州を星が月を持ち上げるように真ん中に置いた。文明は水の滋養があり、自然に成長した。そこで今日、人々は河姆渡遺跡で米を、銭山漾遺址で蚕糸を、良渚遺跡で芸術を発見した。隋の時代に京杭大運河が開削され、またここで太湖を借りて、それから人々は商旅から、詩文から、名画から、旅人から、絶えず、絶えず、湖州の名前を聞いた。

水は湖州の韻であれば、山は湖州の神である。天目山は湖州に尾を振り、その余脈は莫干山と呼ばれている。この山には海のような竹があり、澄み切った泉があり、磁器を作る土があり、剣を作る金があり、香りのよいお茶があり、墨を使った筆があり、さらに四季それぞれの風光もあり、点在している別荘がある。人が残ってさえいれば、物語があり、その物語は山水にもっと光沢を与え、もっと多くの物語の展開を引き付ける。

シルクと茶をお土産に

湖州のシルクは天下に名を轟かせている。湖州シルクの歴史は4700年余りになる。それは湖州が世界に献上した最も華麗な贈り物であるかもしれない。重要なのは、「中国の名を使っている」。湖水の中から流れてきた湖の糸が、川の流れに沿い絡み合って海外に広げられ、西洋の商人が香りを嗅ぎつけて来て、ヨーロッパの貴族が魅了され、世界はこの柔らかい滑らかな布で叙情的な中国を知った。

江南にいれば、お茶でおもてなししないといけない。ここは陸羽さんが隠遁して『茶経』を書いた場所で、山も良く、水も良く、お茶を一杯入れ、その香りはかつて杜牧さんを留め、蘇東坡さんを深く魅了したこともある。今でも、茶館は湖州で各地に開花していて、湖州の茶器、茶芸にも優れたものがある。

今年は『中日平和友好条約』が締結して46周年になり、湖州は福岡県北九州市に赴いて交流を行った。イベントで、湖州から来た国家一級の茶芸師は唐代の煎茶の技術を展示した。これは古い中国の茶文化である。湖州はシルクや本や磁器や茶で、世界に贈り物をした。

江南に入り、雅興は依然とする

南潯に行ったことがあればわかる。ここはきれいで、小さくて精巧な天井、彫刻した木窓、ユニークなレンガ彫刻、白い壁や黒い瓦、いくつかの青い藤が垂れ下がり、川岸には依然として声があり、ここで生活する現代人は通り過ぎ、自然で美しい。

南潯だけでなく、湖州には菱湖、晟舎、織里などがある。これらの名前を見るだけでも、清らかでしなやかな感じがする。今日の風は昔の古い街を吹き渡り、至る所には旧居以外に、民の住居があり、それらは緊密に並び、「人文」という文字を構成している。多くのものが古くなったかもしれない。家も古くなり、生活様式も時代遅れになるかもしれないが、湖州では、これは一種の気質ではないか、時間の中で沈殿した気質ではないか。振り返ってみると、江南の矜持とこだわりこそ、今の人々が必死になって手にしようとしている人生の雅興ではないか。

今を迎え、湖州に希望を

詩賦と音律からシルクや磁器や筆やお茶まで、丹青から金石篆刻まで、ここ数年、湖州は絶えず優れた芸術作品をはるか遠くの広大な国際舞台に展示してきた。湖州の産業転換過程において、呉興の化粧品、長興のバッテリー、南潯の床、安吉の回転いす等の識別度を有する湖州特色産業が海外市場で活躍しており、これによってますます多くの湖州地元企業が国際市場に進出し、海外版図を開拓している。

青花斗彩装飾磁器彫刻『嬰戯』

あの不安定で美しい時代を思い出す。莫干山の上に建てられた別荘たちは、荘重で、軽やかで、伸びやかで、雄大で、200棟以上の姿はそれぞれで、同じものはなく、欧米、日本、ロシアなど10カ国以上の建築様式を代表しており、「世界建築博物館」と呼ばれている。

世の人は「上には天国があり、下には蘇州・杭州がある」とよく言われているが、湖州は始終蘇州と杭州の間にあり、調和した後の優雅さと気品とは何かを理解させる。華夏文明は何度も転々とし、その光り輝くところには、いつも江南があり、いつも湖州がある。

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