江西省九江、千年の雪韵が作る冬景色美しさの極致

沈んだ街並みや白い山々、霧氷に覆われた木々の先端、まるで北欧のおとぎ話の中の小さな町のようである… ここではまだ雪景色が広がってはいないが、そこには極致の美しさがある。これが江西の九江だ。長江に近く、山に面し、中国最大の淡水湖である鄱陽湖に囲まれ、古代の詩人たちがここで1万6000以上の詩を残した場所であり、その美しい風景は訪れた人を魅了する。

庐山の隠されたロマンチックな冬の景色

九江の冬で最も美しいのは、間違いなく庐山である。庐山はその雄大で、独得で、険しく、秀麗な姿は世界的に有名で、冬の庐山はまるで冒険物語のような、木々の一つ一つが厚い雪に覆われ、太陽が山の中に注ぎ込む光景はまるで仙境ようである。

庐山北麓に位置する小天池は、おそらく九江で最も寒い場所であり、庐山の雪景色を楽しむ絶好のスポットでもある。ケーブルカーでアクセスでき、厚い雪が積もり、霧が漂う中、眺める景色は壮大。左側には趣のある禅室もあり、撮影スポットとしてとても印象的だ。

冬の湖水はいつも寂しげで美しい雰囲気を醸し出す。庐山で雪景色を楽しむ際の必訪スポットである如琴湖は、まるで流れるような古詩のようだ。湖面には亭の影が映り、周囲の山々は銀装に包まれ、道端の枝も氷の結晶で飾られ、まるで夢の中のように幻想的だ。

庐山で最も美しい冬の景色のひとつに、五彩の小さな家々がある。これらは雲海と白い雪の中に隠された牯岭鎮に位置し、まるで古代の詩人が描いた桃花源のようだ。その中でも特に有名なのが美庐別墅で、冷たい雪の中にもなお、誇り高い英国風の別荘だ。

 

この街の古い山水の響き、ゆっくり流れる時間を楽しむ

冬の雪景色や庐山の輝きが無くとも、九江は訪れる価値が十分にある古い山水の街である。広大な川があり、すべての感情を受け入れる。千年の歳月が、ゆったりとしたくつろぎを育んできたんだ。

千年の歴史を持つ白鹿洞書院は、中国の歴史上の「四大書院」のひとつであり、最も優れたもので、中華文化の象徴とも言える歴史建建築物である。書院は山々と緑に囲まれ、楼閣と中庭からなる古い建築物で、松や柏が翠緑に交じり合い、花草が美しく競い合っている。環境は静謐で美しく、館内の収蔵品は貴重で、深い歴史を現代に伝えている。

また九江には、中国や世界で最も名高い阿弥陀仏像である東林大仏がある。その造形は、敦煌の大仏、日本の鎌倉大仏、古代インド、そして盛唐時代の仏像の優れた点を取り入れており、またここにある東林寺は浄土宗の発祥地でもある。

仏像の周りには唐風建築があり、春は花見のスポットともなっている。

九江には海は無いが、中国最大級の淡水湖がある。毎年、冬になると鄱陽湖は枯水期に入り、数え切れないほどの渡り鳥が越冬にこの地を訪れ、南矶郷にある「鳥の王国」にでは素晴らしいの鳥の姿をみる事が出来る。また、西海はまるで巨大な青い宝石のように様々な形の島が997個点在しており、その島々の並びは見事な光景となっている。

スパイシーグルメが冬にぴったり

九江にある様々な名所、そして地元のグルメも忘れてはならない。九江には、激辛で有名な成都料理にも負けないスパイシーな料理が沢山。

朝、九江の人々を目覚めさせるのは目覚まし時計ではなく米粉の香りである。米粉は九江の庶民の味で、特徴は他の地方の米粉と違い、少しパリッと炒め、濃厚な油や醤油はあまり使わない点にある。以前は青菜やもやしなどの野菜のみが添えられていたが、今では豚肉や卵なども加えられることもある。強火で炒めた後、唐辛子を振りかけて、十分に辛く、香り豊かに仕上げるのが特徴となっている。

江南の蘿蔔餅とは違い、九江の蘿蔔餅は薄く、外はカリッとして中は柔らかく、ふわっと油の香りが漂い、蘿蔔の清香と唐辛子の辛さもあるのが特徴。あっさりしたスープと一緒に出されることが多く、皮は薄く、具材は少なめで、口の中でとろけるような食感である。豚脂のスープと一緒に食べると、素材の味がそのまま残り、非常に鮮やかな香りが広がる。

非物質文化遺産の美食である九江の茶餅は、唐代を起源とし、「中国十大伝統名菓」、「江西四大菓子」のひとつとなっている。伝統的な技術と現代の技術が組み合わせて作られており、薄くてパリパリ、香甘な茶餅は茶油の清らかな香りと丹桂の芳香が広がる。茶餅を庐山の雲霧茶と一緒に食べると、風味が一層引き立つ。

全魚宴は、九江の人々が魚を楽しむ"代表作"と言える。魚宴では魚の様々な部位を利用し、焼いたり、炒めたり、蒸したり、焼いたり、スープや揚げ物、冷やし物など、様々な料理方法が用いられる。手法は巧みで、包丁さばきが力強く、火加減は絶妙、贅沢な食べ方を楽しむことができる。

 

ここには長い歴史と深い文化があり、美しい環境とのどかな生活がある。北海道にも引けを取らない雪景色や、宝石のような都市は、江西の人だけが知るにはもったいない。時間があれば、九江を訪れてることをお勧めする。

寄稿者:美智子

ABOUT US