越劇俳優陳麗君、中国の「天海祐希」だ

通常、戯曲は年配の世代に人気があると考えられているが、中国の5大戯曲の一つである越劇の演目『新龍門客棧』は、昨年からインターネット上で長いブームを巻き起こし、これまで越劇に触れたことのない多くの若い観客が劇場に足を運んだ。

劇中の「玉面修羅」賈廷役を演じる陳麗君は、男装の派手な雰囲気でファンを魅了し、TikTokのフォロワー数はわずか2カ月で10万から220万に上昇し、中国人自身の「天海祐希」と呼ばれている。

劇中陳麗君の立ち回りは滑らかで、優雅さと自信を持っている。手に持った扇子を軽く振り、振り返って笑みを浮かべ、優雅でハンサムに見えた。陳麗君は賈廷のほかに、『葬花吟』の痴情な旧家の公子賈宝玉、『梁山伯と祝英台』の中で祝英台と出会い、恋に落ちた青年書生梁山伯を演じた。

陳麗君は越劇の故郷である浙江省嵊州市で生まれ、小さい頃から大人たちと一緒に戯劇を見て、だんだん越劇を好きになった。13歳の時に劇団に入り越劇を学び、現在は浙江小百花越劇団の一員である。

他の多くの地方劇団と同様、越劇も最初男性だけの劇団だった。その後、女性の解放と都市化に伴い、浙江省各地の都市や町に越劇の女性劇団が誕生した。 20世紀半ばになると、男性の俳優がいなくなったため男劇団は代替わりしたが、女性俳優が出演する作品は女性観客に支持され、女性の越劇もそれによって輝きに向かった。

高い舞台で上演される伝統的な戯曲とは異なり、『新龍門客棧』は観客との距離がほとんどない小劇場で上演される。最前列に座った観客は、役者の袖から吹く風さえ感じることができ、役者と対話することもできる。

長い間、戯曲劇場に座る若者はほとんどいなかったが、『新龍門客棧』の登場は、戯曲界に明るい光を灯し、伝統的な戯曲の革新にアイデアと方向性を与えたと言える。

筆者:千恵子

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