江蘇省泰州市の興化、世界遺産となった水郷の街

江蘇省里下河の奥地に詩意に満ちた水郷がある。そこは独特の垛田地形を擁し、世界に名高い絶景「垛田花海」を育んだ。そこはまた水滸伝のゆりかごであり、板橋のふるさとであり、人材や文化が一堂に会する、賢人智者を輩出する秀麗の土地である。その土地の名は興化という。

興化に足を踏み入れたあなたは、この小さな街の絵のような美しさに惹きつけられることだろう。水路が網の目のように交わり、いたるところに湖や池が水を湛えているここは、いたるところに生き生きとした水の風景が広がっている。そしてあなたはこの街の生活が持つちょうどよいリズムに感動し、素朴な活気がこんなにも人の心を癒すのだと心打たれることだろう。もし空いた時間が一日あるなら、興化巡りの旅程を組んでみるのはいかがだろうか。

李中水上森林

水に浸る興化はつねに落ち着いていて品があり、文化の香りと優しさに溢れている。興化に来たなら、最初は必見スポット李中水上森林に行ってフレッシュなデートを楽しもう。江蘇省最大の人工生態林であるここには10万株のメタセコイヤ、ヌマスギが植えられていて、これらの木々が縦横に交錯し「森林の迷宮」を作り出している。ここは野生動物の楽園でもあり、ミミズク、カモ、シラサギ、クロカッコウ、クサインコなどが生息している。常時3万羽あまり、ピーク時には6万羽あまりの鳥たちを抱えるこの森は「蘇中の九寨溝、華東の鳥の楽園」という誉れを持つ。

森の中をゆっくり歩いて、思う存分深呼吸しよう。植物の芳しさが漂う空気は人を酔わせてやまない。また、木製の桟道を歩きながら差し込む木漏れ日を眺めたり、東屋に静かに腰を下ろして森の奥深くでこだまする鳥たちの声に耳を傾けると、心は嬉しくてたまらなくなる。霧立ち込める森の幻境に足を移すと、たちまち「緑野に仙人を追う」秘境の感覚に引きずり込まれることだろう。白い薄靄が林間に立ち上り、頭を超え、梢にかかる。その様子はまるで童話のように美しい。

この森林の秘境にどっぷりと浸かって感じてみたいなら、筏に乗って漂流体験してみよう。水路に沿って進むと、「林に水有り、水に魚あり、林に鳥あり」の絶景をより身近に感じることができる。自然が作り出した木の橋の下をくぐり抜け、青い空、白い雲、緑の木々、空ゆく鳥の影がゆらゆら倒影する様子を眺めると、時間はまったりと心地よく流れはじめる。最後は森林小劇場に行って淮劇を鑑賞し、劇の節回しとこの地の自然の深い愛情の共鳴に耳を傾けよう。

万亩荷塘

ハスの花のように開いた心に、清風が自然と吹き込む。興化万亩荷塘のハスがあでやかにほころぶとき、あなたはその壮観な眺めに震撼せずにはいられないはずだ。澄みきった水の間、天に迫らんと伸びるハスの葉たち、空気にはほのかな香りが漂い、ハスの花が池を満たす。ここに来て、そんな一抹の詩意と静幽を尋ねよう。浮き橋の桟道をゆっくり歩くと、微風が軽く吹き、水面が波立ち、ハスの香りが身体を包む。すらりと美しい様々な姿かたちの蓮の花は、見る者にぜひ近づいてみたいと思わせずにはいられない。3階建ての観光楼に登ると万亩湖の風景を余すことなく眺めることが可能だ。

筏に乗ってハスを眺めるのも「池に入ると誰もが姿を消した。だが四方から聞こえる歌声が誰かの到来を私に告げるのだ」という詩の味わいが感じられて良い。「やはり頭を下げる優しさがいちばんだ。まるで涼風に堪らずはにかむ睡蓮の花のように」などはさらにその味わいが体得できることだろう。ハスの葉揺れる水田、爽やかさを届ける清風、その場に身を置いてこそハスを愛でた古人の雅趣がことのほか感じられるのだ。

興化八字橋文旅休閑街区

八字橋をぶらつかないことには興化の街をぶらつかないことに等しい。興化東大街に佇む八字橋は名声に恥じない古橋梁であり、後世にまで伝わる興化人文の名声の重要な見届け人でもある。現在の八字橋は文化観光レジャー街区であり、興化市博物館、李園船庁、興化県署、四牌楼、八字橋広場、国象館などのスポットを含む、興化でもっとも賑やかな夜間観光消費地となっている。

古色蒼然とした商店街や路地をそぞろ歩きすると、気分はたちまち百年の時を越え、詩の響き遥遠たるあの時代に舞い戻る。400年あまりの歴史ある四牌楼を巡り、隆盛を誇った興化文化の気風にため息をつこう。また、デートにいちばんいい次期を見計らって中国風の漢服、雲裙や羅裳を見て、全盛のあの時代を再現してみよう。李園船庁を訪れて『板橋道情』を聞き、活気に満ちた盛宴を楽しみ、板橋氏の気骨と興化というこの土地が培った人文の息吹を味わうことも見逃せない。ほかにも、八字橋広場で上演される大型実景劇『垛上謡』で水郷の人々の「土を積み上げ垛(あずち)と成す」の不屈の精神を感じたあと、小淮劇『板橋放糧』『范断案』など、優れた劇を連続で体験するのもいいだろう。

街区にはテーマあるバー、特色ある飲食店、明清の茶屋などがある。多種多様な風味のグルメがナイトライフ体験を豊かにし、夜の帳が降りたあとの時間をゆったりと気ままなものにしてくれる。濃厚な活気が古今を越え、十分な癒しをもたらしてくれる。

さあ、一日分の時間を作って興化をゆっくりと歩きじっくりと味わい、一晩過ごしてみてはいかがだろうか。

寄稿者:江蘇観光(日本)ピーアールセンター



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