無錫人の「経世致用」の暮らしを記録する清名橋

多くの無錫の地元民のナイトライフは清名橋からスタートする。近所のお年寄りたちは橋の上で涼を取りおしゃべりをし、清名橋がつなぐ南長街には飲み食いする男女たちが集まる。

もし清名橋に来るのが初めてなら、遊覧船に乗らないといけない。埠頭から船に乗って広々とした古運河の水面を行くと、夕焼けの下、涼しさが押し寄せ、心の眼がたちまち開く。船を操舵する職人は抑揚をわきまえており、景色が美しいところにさしかかると船はゆったりと進んでいく。

古運河の両岸には数えきれないほどの茶館、料理屋、コーヒー店があり、外にせり出したベランダのひとつひとつには美食と夜を静かに楽しむカップルたちの姿を見ることができる。

現地の人々が言うには、昔はこの両側の部屋は一階は商いに使い、二階で生活していたという。古くから無錫人は商売と生活とを一つの家で行ってきたが、それは現在でも変わらないのだ。商業用店舗に使われるのは水に面した建物だけで、通りの奥、大小さまざまな路地は民家につながっている(無錫古運河の両岸には現地民の大量の集住区が大量に残っている)。互いに映える芭蕉と石の牌楼、そして悠久の歳月に、思わず時間を越える感覚に陥ってしまう。

お隣の蘇州の礼儀と道徳を重んじる「詩礼之家」の儒商(商売に儒教の教えを取り入れた商人)の雰囲気と比べると、無錫人は実用と応用を重んじる「経世致用」を極限まで発揮している。たとえば、みなが恵山泥人形を単なる可愛らしい飾り物の人形だと思っている間に、南長街にはとっくにNANIMOMO CLUBという昼カフェ・夜バーの人気店がオープンしていて、恵山泥人形とコーヒー、デザート、手芸、文化クリエイティブ産品などの潮流要素を融合させ、若者に向けて実用・応用しているのだ。

店では定期的に恵山泥人形無形文化遺産伝承師を招き、子どもたちに泥人形の作り方を教えている。また革新的なテーマの泥人形作品の展示と販売も行われている。ここでは恵山泥人形は「古く懐かしい」存在にとどまらず、若者たちの生活を飾るおしゃれなトレンド品なのだ。

また、南下塘の阿福茶館は錫劇を無錫宜興紅茶、無錫点心、無錫当地の「錫幇菜」のなかへと融合させている。暇なときはお茶を飲み、ヒマワリの種を摘まみながら曲を聴く。食事時には無錫料理を食べて劇を見る。「茶、酒、曲、料理」のなかに無錫人の幸せな暮らしがあるのだ。

南長街の王源吉鉄鍋店もまた無錫人の「経世致用」の商売物語だ。六代の職人の技で作られ、10年から20年使えると言われる鉄鍋は、料理人たちの心の琴線に一瞬で触れる。また、そんな鉄鍋の匠の工芸を「平行移動」させて鉄瓶、香炉などの創造性と暮らしの楽しみ溢れるアイテムも作られている。

清名橋に夜が訪れ、南長街にナイトライフがやってくる。すると無錫人の商売上手、暮らし上手を深く感じることができるのだ。



筆者:江蘇観光(日本)ピーアールセンター

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